雨上がり、誰も通らないプラットフォーム
発心。 この作品は、空のプラットフォームから始まる。作りたかったのは、ネオンの都市でも、豪雨の風景でもなく、ひとつの出来事が終わったあともまだ完全には止まっていない空間だった。蛍光灯はなお古い拍に合わせて明滅し、線路はなお低周波で走査され、雨はあらゆる境界を鈍らせ、ときおり列車が通過した後の光が横へかすめていく。けれど列車そのものは、最後まで現れない。
ここでの空白は、ものがないということではなく、時間が引き延ばされたあとに残る間隔である。見る者はこの場面を運転することも、移動することも、所有することもできない。ただ、それがどのように記憶するかを調整できるだけだ。マウスの横方向は古いフレームの残留時間を変え、縦方向は雨とノイズの圧力を変える。
残像。 画面のなかには三つの時間がある。
建築の時間はほとんど動かない。プラットフォーム、線路、屋根、ライトボックスは横方向に固定されたままで、長回しのショットのように見える。
天候の時間は変形しつづける。雨線、霧の帯、水面の反射が、同じ空間を絶えず書き換えていく。
一方、媒介の時間はずれつづける。古いフレームはゆっくり褪せ、水平信号はときおり裂け、もともと同期を保つためにあったいくつかの拍までもが、自ら朽ちはじめる。
列車は物体としては現れず、明るさの記憶だけを残す。それが通過したあと、画面はすぐには回復しない。ゆっくり減衰するレイヤーのなかで、すでに消えた出来事をなお再生しつづける。
作品説明
《雨上がり、誰も通らないプラットフォーム》は、実行可能な p5.js の生成芸術スケッチである。画面は横方向に固定されたカメラ位置を用いている。下部には線路の暗い面とプラットフォームの縁、中部には濡れて反射する床面、上部にはライトボックス、雨の幕、信号線、そして遠くの都市の低彩度の影がある。
作品の核にあるのは、持続的に減衰する記憶レイヤーである。光、雨、走査線、信号灯、そして偶発的に現れる列車の残光がこのレイヤーに書き込まれ、時間とともにゆっくり褪せていく。マウスが右へ行くほど、古いフレームは長く留まる。左へ行くほど、画面はより速く忘れていく。マウスが下へ行くほど、雨の密度、粒子、ノイズの圧力は強くなる。
スケッチの内部には、もう一本の制御パルスがある。それはライトボックスの明滅、走査線、遠くの信号灯、水平のずれを駆動する。このパルスが拍を取りこぼすと、画面には短い裂け目が現れる。同期を失いつつある録画メディアのように。ここでの故障は装飾ではなく、作品の時間構造である。リズムを維持するシステムそのものもまた、衰えている。
操作方法:
- マウスを横方向に動かす:残留時間を制御する。右へ行くほど、古いフレームが長く留まる。
- マウスを縦方向に動かす:雨の密度とノイズの圧力を制御する。下へ行くほど、雨と粒子が強くなる。
- S キー:PNG 静止画を保存する。
- G キー:GIF の保存を試みる。成功するかどうかはブラウザの対応状況による。
- R キー:画面状態をリセットする。
- H キー:低透明度の説明を表示または非表示にする。
- 1 / 2 / 3 キー:色調を切り替える。それぞれ、ナトリウム灯の雨夜、冷たい青緑の蛍光、紫黒の故障する夜。