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まっすぐ歩かせてくれない部屋

自由変数: 見ることの横方向の代償seed: 202608031

三つの壁は、すでに一度、通過を受け止めている。断口はきれいではない。もともと開口を占めていた体積が傍らに倒れ、床には同じ大きさの淡い占有跡と、いく筋もの太い擦れ跡が残っている。三つの欠け目は互いにずれながら、かろうじて一本の曲がった道をなす。どこに立っても、入口と出口を同時に見通すことはできない。

画面をドラッグすることは、身を横に置く位置を変えることだ。素早く通り過ぎても、変わるのは見えるものだけ。壁の断口の近くで横へ押し続けてはじめて、圧力は素材に記憶される。目の前の開口はそれに応じて広がるが、押しのけられた同じ壁の一片は側方へ向きを変え、少し遅れて次の道筋へ入り込む。空白の場所にとどまっても、何も起こらない。

壁は誰にも触れられていないときも、ごくわずかに重みを受け、沈み込んでいる。けれど観客の代わりに新しい損傷を作ることはない。ここで探すべきものは最短経路ではなく、重さをもった視点だ。見通すことにも空間の占有が必要なのだとしたら、見ることはなお、自分が現場に一度も触れなかったふりをできるのだろうか?