四通りとも戻ってこられる
白が一手指し、黒が一手指し、白がもう一手指す。終局では、黒ナイトは g8 から f6 に移り、白の駒はすべて元の場所に戻っている。この静止した盤面だけを見るなら、白の二手には少なくとも四通りの完全な手順がある。
g1 → h3 → g1
g1 → f3 → g1
b1 → c3 → b1
b1 → a3 → b1
どれも駒を取らず、例外的なルールもいらない。白ナイトをどちらか選び、空いているマスへ跳び、同じ道を戻るだけだ。黒ナイトはそのあいだの手で f6 に到着する。四つの動きはいずれも合法で、終局も一マスごとに同じになる。棋譜は白に二度の行動しか許さないほど短いのに、それでも通ってきた経路の違いを残してはくれない。盤上からは、どちらのナイトがいま外へ出ていたのか分からない。
もう一つの三手半の証明ゲームは、問題をさらにきつく絞る。終局があらかじめ与えられている。白の e ポーンは e3 に、白ビショップは g6 にいる。黒の h ポーンは h4 へ、f ポーンは f5 へ進んでいる。初形から、白が四手、黒が三手、双方が交互に指して、ちょうどこの盤面に到達しなければならない。
最初の二手ずつは自然だ。白ポーンが e3 へ進み、黒ポーンは h7 から一気に h5 へ。白ビショップは、いま開いた斜線を通って d3 へ進み、黒ポーンはさらに h5 から h4 へ進む。白にはまだ二手残っていて、ビショップも g6 まであと二手だけに見える。e4 は g6 へ向かう斜線上にある。ビショップがまず d3 から e4 へ行き、次に g6 へ行けば、距離は一マスも余らない。
だが、その二手は隣り合っていない。ビショップが e4 に止まると、手番は黒に移る。f ポーンが f7 から f5 に落ちてくる。それはちょうど、e4 と g6 のあいだで必ず通らなければならないマスを塞いでしまう。さっきまで完全だった第二手は、さかのぼって誤りと判定されるのではない。待っている一手のあいだに、初めて不合法になるのだ。もしビショップが d3 から反対側に空間を探そうとしても、最初のマス c2 にはずっと自分の白ポーンが立っている。
この一局は、前の一局とは逆向きの圧力を示している。経路が短いほど、通過した道が決まりやすくなるわけではない。四度の白ナイトの往復は、手数の少なさが自動的に手順を減らすわけではないことをすでに示していた。白ビショップの場合は、ちょうど二手の近道が、かえって途中の黒の一手に耐えられない。到達させるには、目的地をできるだけ早く止まる場所と見なしてはいけない。f5 がまだ空いているうちに、先にそこを通り抜けなければならない。
白ポーンが先に斜線を空け、黒は h ポーンを h5 へ押す。ビショップが d3 へ進み、h ポーンはさらに h5 から h4 へ。ビショップは斜線に沿って、まだ空いている f5 を越え、終点の g6 も越えて、h7 まで進む。その後で f ポーンが f5 に落ち、ビショップは h7 から g6 へ戻る。